2004年11月03日

肉筆画【浮世絵】

肉筆画とは、武家・豪商からのなど、裕福な家からの注文で制作した浮世絵のこと。

共同作業のうえ、大量に摺られる版画と違い、この世に一点しか存在しない作品となることから、絵師たちはそのもてる感性や技量を注ぎ込み、精魂込めて制作した。

一点ものであることから、肉筆画は現存数が少なく、なかなか鑑賞する機会に恵まれないなど、貴重な作品です。

浮世絵の代表的絵師である、菱川師宣なども自分の真価は肉筆画であるとし、自らを日本画師と称し強い自負を持って肉筆画の制作に当たったとされます。


例えば葛飾北斎。

ヨーロッパ印象派に強い影響を及ぼした、冨嶽三十六景や北斎漫画などで有名な北斎ですが、肉筆画も多数残しています。
風景画、美人画、役者絵はもちろん歴史画、花鳥画、測量図まで描くその題材の豊富さ、画風の多様さ、活躍した領域の広さは江戸時代後期の画家の中でも圧倒するものです。


ほとんどの絵師が、肉筆画、版画両方の制作を行っていましたが、肉筆画のみの制作を行わなかった一門があります。

宮川長春とその一門です。
版画は職人。
絵師は肉筆画が生きる道、とし誇りを持って活動していたようです。

長春の流れは浮世絵の本流となり、後に役者絵、美人画で活躍する勝川春章、そして葛飾北斎へと続くわけです。

絵師が持てる技量を注ぎ込んだ精緻な浮世絵、肉筆画。
しかし、その一点しか制作されないゆえの真贋判断が、難しいところでもあります。


参考リンク:

葛飾北斎美術館
カラー印刷の源流(北斎の絵が多く見られます)